公開日
11月下旬、日本各地で続々と「初霜」の便りが届く季節となりました。いよいよ寒さが本格的になってきましたね。
ところで、日本の気象庁は今年から「初霜」「初氷」の観測を廃止しました。より詳細な気温データがオンラインで充実したことが理由ですが、私たちのガーデニング対策には引き続き注意が必要です。
霜と凍結で植物はどうなる?違いとリスク
まず「霜」と「凍結」は似て非なる現象ですが、ガーデニングに与えるインパクトも少し異なります。

霜は氷点下(0℃以下)で地表や葉に氷が付く現象です。葉の縁が焼けたようになることがありますが、短時間なら耐える植物も多いです。

一方、気温自体が0℃以下になる凍結は、細胞内の水分が凍って膨張することで細胞が壊れやすく、葉や茎が黒変するなど深刻なダメージにつながります。特に低温が長く続く場合や風に曝されると、被害はより深刻になります。
秋から冬直前、まだ間に合う!霜・凍結対策
すでに初霜が降りた地域でも、まだ根本的なダメージを防ぐ方法はあります。
覆いをかける
不織布やビニールなどの植物用霜よけカバーなど(古いシーツや毛布でも代用可)で植物全体を夕方までに覆い、地熱を閉じ込めておきます。重たいカバーは直接葉に触れないよう支柱を利用しましょう。夜が明けてしっかり温かくなったらカバーは外してください。
鉢植えはまとめて壁際に
鉢物は家の壁際などにくっつけて小さな「温暖ゾーン」を作るのも効果的です。
雑草処理は今がラストチャンス

本来は、草取りは霜が降る前に行うのがベストです。特に多年生や秋発芽の雑草は春に復活しやすいので、根ごと抜いておくのが安心です。処理後にマルチングすれば発芽抑制にも役立ちます。
水はけ改善も大事
土壌が水を多く含んでいると、冷気と水分で根腐れや凍結ダメージが増します。植え替え時や問題エリアには砂利やパーライトを混ぜるか、排水溝を作るのがおすすめです。
霜に弱い植物

一口に「植物」といっても、耐寒性の強いものと霜に敏感なものがあり、後者の見極めがとても大切です。
熱帯・亜熱帯植物
特に寒さに弱いのは、熱帯・亜熱帯地域生まれの植物です。たとえばインディアンローレル(ガジュマル類)、柑橘類、ジャカランダ、ペラルゴニウム(ゼラニウム系)、多肉植物、サボテン類、ヤシの仲間などは、気温が6℃以下になると傷みやすく、冷え込みによって葉や茎が黒変・腐敗することがあります。こうした植物は鉢植えなら室内に移動し、そうでなければ防寒対策が必須です。
非耐寒性多年草
ダリア、カンナ、フクシアなどの非耐寒性多年草も、寒さや霜で根や葉、蕾がダメージを受けやすいため、根ごと掘り上げて室内で保存する・温室で管理する・分厚いマルチングを施すなどのケアが推奨されます。
鉢植えやコンテナの植物
意外と忘れがちですが、鉢植えやコンテナで育てている植物は、地植えよりも土が凍結しやすく根が大きく傷む傾向にあります。冬場は鉢ごと室内や軒下などの温かい場所に移動し、乾燥にも注意して、こまめな水やりを忘れないことが大切です。
常緑性の低木・落葉低木
ツツジ、シャクナゲ、カメリアなど常緑性の低木は厳しい寒さに弱い場合があるため、基部をマルチングしたり北風を避ける場所に植えるのが効果的です。また、バラ、アジサイ、イチジクなど落葉低木も幼木や新枝は凍結に弱いので、不織布やフリースでフレーム状に覆ったり、株元に盛り土やピートを置き、松葉などで覆うなど多重防寒が安心です。
果樹類の若い苗木
果樹類では特に若い苗木や、リンゴ、ナシ、モモなどの初期生育段階が霜害を受けやすいので、幹巻き・十分な水やりや、寒風の当たらない場所への誘導なども重要です。
このように、どの植物が霜に敏感かを把握し、適切なタイミングで移動・防寒・管理することで、寒さからきちんと守ることができます。
まとめ
日本の観測方法も変化する中で、ますます「自分の庭を見て、肌で季節を感じて」対策や管理を考える力が重要になっています。霜や寒さに負けず、適切な準備とちょっとした工夫で今年の冬も、次の春も、健やかなガーデンライフを楽しみましょう。







