スペイン・コルドバ流 狭い空間でも映える“パティオ風”植木鉢ガーデニングのコツ(前編)
公開日
スペイン南部アンダルシア地方の古都・コルドバ。
毎年5月、この街の旧市街は色とりどりの花と緑に包まれ、世界中から多くの人々が訪れます。その理由は、「Festival de los Patios de Córdoba」(コルドバのパティオフェスティバル)の開催です。2025年は5月5日から18日まで、歴史ある住宅の中庭(パティオ)が一般公開され、街はまさに花の都へと変貌しました。
コルドバのパティオとは?
パティオとは、スペイン語で中庭という意味。コルドバのパティオは、白壁の家々の中心に設けられた小さな庭で、暑いアンダルシアの気候を和らげるための知恵として、ローマ時代から受け継がれてきたものです。ゼラニウムやコリウス、ジャスミンなど、鮮やかな花々が植木鉢で飾られ、壁やバルコニーを彩ります。
この美しいパティオを、毎年春に一般公開するのが「コルドバのパティオフェスティバル」。住民たちが丹精込めて手入れした庭を訪問者が自由に見学できるフェスティバルです。
100年以上続く伝統と進化
「コルドバのパティオフェスティバル」の起源は1918年、住民たちが自宅の中庭を一般公開し始めたことから始まります。
1921年にはコルドバ市が初めて公式の「パティオ・バルコニー・ウィンドウディスプレイ・コンテスト」を開催。最初は参加者も少なく、一時中断もありましたが、1933年に復活。その後もスペイン内戦などで中断を挟みつつ、1944年から本格的に毎年開催されるようになりました。
1950年代には観光振興の一環として賞金や補助金も増額され、このフェスティバルはコルドバの一大イベントへと成長。年を重ねるごとに街全体が華やかに盛り上がる祝祭となりました。
1979年以降は、花の種類や鉢の手入れ、自然光の取り入れ方、花や建築の美しさ、住民の努力、地域性など、本物志向の細かな審査基準で評価されるようになり、現在は建築様式ごとに賞が分かれています。
2012年にはユネスコの無形文化遺産に登録され、世界的な注目を集めます。以降、来場者数は年々増加し、スペインを代表する春の風物詩として定着しています。
2025年の「コルドバのパティオフェスティバル」の見どころ
2025年は、旧市街を中心に63のパティオが公開され、そのうち52がコンテストに参加。サン・バシリオ地区やサンタ・マリーナ地区など、特に人気の高いエリアには、地元住民だけでなく多くの観光客が詰めかけました。初日2日間だけで11万人以上が来場し、街は華やかな熱気に包まれました。
今年の受賞パティオの中には、伝統的なアンダルシア様式を守りつつ、オリジナリティあふれる花のアレンジや、水の音を活かした癒しの空間づくりが高く評価されたものも。
LEGOで再現!現代の遊び心も開花
2025年、特に話題となったのがLEGOによる特別展示です。なんと12万個ものレゴブロックを使い、伝統的なコルドバのパティオを精巧に再現!
花のアーチや立方体の鉢を再現するだけでなく、バラ、スミレ、ラベンダー、ポピーなどが細部にわたって本物そっくりに作られており、子どもから大人まで多くの来場者を驚かせました。
次回予告:あなたの家にも小さなパティオを
コルドバのパティオは、真っ白な壁一面に取り付けられた植木鉢と、そこに咲き乱れる色とりどりの花々が息をのむ美しさですが、限られた空間を最大限に活かす工夫も注目したいところです。
次回はそんなパティオ文化からヒントを得て、狭いベランダや小さなスペースでも楽しめる「植木鉢ガーデニング術」をご紹介します。コルドバの知恵を、あなたのおうちにも少し取り入れてみませんか?
参考:Ayuntamiento de Córdoba
Diario Cordoba S.A.U.
DIARIO ABC SEVILLA, S.L