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ガーデニングと本で感じる命の物語|『人よ、花よ、』『空色心経』を読む

公開日

今回は、今月4月に発売された2作の書籍からガーデニングの世界を見ていきたいと思います。

戦乱の世を駆け抜けた若者たちと、スーパーで働く女性の物語は、植物を通して見つめる「命のつながり」を鮮やかに照らし出します。

今村翔吾『人よ、花よ、』 -戦禍を生き抜く花の記憶

『人よ、花よ、』は、南北朝時代を舞台に楠木正行(多聞丸)の軌跡を描いた歴史小説です。この作品は、2022年8月15日から2024年3月31日まで朝日新聞朝刊で連載され、約1年の時を経て2025年4月7日、上下巻として発売されました。

今村翔吾「人よ、花よ、」

軍神と称された父・正成の影を背負いながら、戦なき世を求めて北朝に降る決断をする青年の姿が、圧倒的な筆致で綴られます。特に終盤、満身創痍の桜の木に可憐な花が咲き誇る場面は、「全ての民の春を寿ぐ『花』」として、戦禍を超える生命力を象徴しています。

「虫害で切り落とされた枝の跡、深緑の苔に覆われた幹、満身創痍の落武者のようなその桜木に、今年も可憐な花が咲く。一昨日は一輪、昨日は十輪、今朝はもう数えきれない程」

著者・今村翔吾氏は歴史小説や時代小説で活躍し、『塞王の楯』で2022年に直木三十五賞を受賞した実力派作家です。彼は「歴史小説は過去と現在をつなぐ橋」と語り、本作でもその哲学が息づいています。

こうの史代『空色心経』 -空色が紡ぐ日常の気づき

『空色心経』は、般若心経を題材としたオール2色コミックです。この作品は作者自身のブログ「こうのの日々」で連載され、その後2025年4月7日に朝日新聞出版から発売されました。黒色と空色という2色だけで描かれた美しい世界観が特徴であり、新しい表現方法への挑戦となっています。

こうの史代「空色心経」

主人公・麻木あいはスーパーマーケットで働く女性。仏教用語で「空」を意味するタイトル通り、日常の些細な出来事(レジ打ち音や陳列棚)に潜む真実が浮かび上がります。一方紀元前インドでは観自在菩薩との対話が展開し、「無常」の理を砂漠に咲く一輪の花として象徴的に描いています。

著者・こうの史代氏は広島県出身で、『この世界の片隅に』や『ぼおるぺん古事記』など数々の名作を手掛けてきた漫画家です。今年漫画家生活30周年を迎えた彼女は、「新しい表現方法への挑戦」を続けています。本作もまた、その挑戦から生まれた作品ですね。

命のリレーを受け継ぐ庭

2作品に共通するテーマは「世代を超えた継承」です。

『人よ、花よ、』では、満身創痍の桜の木がそれでも花を咲かせる姿が描かれます。これは、手入れが大変な庭でも、季節が巡るたびに花が咲く光景と重なります。また、『空色心経』では、スーパーで働く麻木あいの日常と紀元前の菩薩の対話が呼応するように、庭の片隅でふと新芽が芽吹く瞬間にも、何か特別な意味を感じるかもしれません。命や知恵が受け継がれていくーそんな普遍的なテーマが、2つの物語をつないでいるのではないでしょうか。

同じ植物を育てても、人によって気付きが異なりますが、本作もまた読者ごとに異なる解釈が生まれると思います。たとえば窓際の枯れかけていた植木鉢の植物から新芽が出る瞬間、青虫にキャベツの葉が食べられる光景にすら、「空」の概念や生命力への感動が宿ります。

春の庭仕事をしながら、ベランダや窓辺の植物を手入れしながら、ぜひこれらの作品に触れてみるのも一興です。もしかしたら、土いじりをしながら、千年前の人々と同じ感覚を味わっているような気がするかもしれません✨

芽と手

庭や植物と向き合う時間は、ふと自分自身を見つめるひとときになることもあります。でも、悲しいかな現実では「庭の手入れがうまくいかない」「植物の育て方がわからない」といった悩みに直面することもありますよね😓

そんな時は、専門家に相談してみるのも一つの方法です。ニワナショナルでは庭の管理やメンテナンスの相談も承ります。ぜひチェックしてみてください。

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