認知症の人を助ける4つのシンプルなガーデニング・ハック
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ガーデニングは認知症の人々にとって重要な安らぎになります。
厚生労働省研究班が今年5月に公表した調査によると、国内の認知症患者数は2022年時点の443万人から、2030年には推計523万人にのぼるとのこと。
認知症は患者だけに影響を与えるものではなく、その影響は家族や地域社会にも波及します。大切な人をどのようにサポートすればよいのか戸惑いますね。
しかし、ガーデニングは認知症の人にとって最も有益な趣味のひとつなのだそうです。
身体機能と認知機能を維持することは、脳に刺激を与え続けるために重要です。
ガーデニングは認知症の方にとって気晴らしになり、治療効果も期待できます。
認知症の人をサポートする4つのガーデニング・ハック
今回は、ガーデニングの本場イギリスの話題をご紹介します。
医師や園芸講師、高齢者ケアの専門家たちが提唱する、認知症の人へのサポートに良い効果をもたらすガーデニング術とは?
認知症の人を庭へ連れて行き、散策する時間を過ごす
庭を散歩させることで、可能性が広がります。
植物の中でも特に鮮やかな色や質感を持つ植物に触らせるのがポイントです。そうすることで気が紛れ、その時していることに集中できるようになります。
また、興味がありそうであれば自立心と個人の達成感を感じてもらうために、ガーデニングの一部を自主的に行うよう促してみるのも良いでしょう。
彼らが安全に作業しているか目を離さず、必要な時にすぐ手助けできる距離で見守りましょう。
センサリー・ガーデンの探索
認知症の捉え方のひとつとして、本棚をイメージしてみましょう。
いちばん下の段には最も古い記憶があり、いちばん上の段には最近の記憶があります。本棚を揺らすと、最初に落ちるのは上の段にある本=最近の記憶で、最後まで落ちずに残るのは、下の段の古い記憶です。
多くの人にとって、自然の中に身を置くことは幼少期の思い出の一部であり、だからこそガーデニングや屋外での活動は、認知症を患う人々にとって非常に有益であり、大きな安らぎをもたらします。
イギリスでは、認知症の人のためのガーデンアクティビティを精力的におこなっています。
これにより視覚や嗅覚、触覚など感覚を刺激する庭や様々な種類の植物が認知症に効果があることがわかっています。
心を落ち着かせる色や質感、香りを持つ植物をふんだんに使った感覚的な庭をデザインすることで、認知症の人が遠い記憶を思い出すきっかけになることがよくあります。
ちょっとしたガーデニング作業も有益
認知症の初期段階では、簡単なガーデニング作業も非常に有益です。
安全のためトゲのある植物や毒性のある植物は避けましょう。
果物、野菜、一年草、ハーブの栽培がおススメです。草刈りや小鳥の餌付けをするのもやりがいを感じさせられます。
スナップエンドウは種まきが簡単ですぐに収穫でき、摘んでから直接生でも食べられます。
そのほかには、ストック、ラベンダー、キンセンカ、ナスタチウム、ミント、オレガノ、タイム、フェンネル、スイートピー、コモンジャスミンなど、強い香りや風味のある感覚的な植物がおススメです。
季節の植物を探索し、その季節を思い出させる
花や植物は気分を高める効果があることはよく知られており、美しく咲き誇る庭に座ったり歩いたりすることは、幸福感や精神衛生にプラスの効果をもたらします。
認知症に関連した記憶喪失を患っている人にとって、春の始まりには桜、夏の始まりを告げるゼラニウムのような日光を好む植物など、様々な種類の植物がその時期を思い出させるのに役立つかもしれません。
嗅覚は非常に喚起的であるため、強い香りを放つ草花は、幸せな記憶を呼び起こすと同時に、心を癒す効果も期待できます。
この記事はThese 4 Simple Gardening Hacks Can Help People With Dementia(HUFFPOST)を元に翻訳・リライトしました。